利益率(粗利率)と上乗せ率(マークアップ)の違い|値付けで損しないためのExcel・スプレッドシートの式
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値段を決めるとき、「原価に○%のせる」という決め方をよく聞きます。わかりやすい方法です。でも、ここに小さな落とし穴があります。
原価に25%のせても、利益率は25%になりません。 20%です。
この記事では、「利益率」と「上乗せ率」の違いを、数字の例で説明します。そのあと、ExcelやGoogleスプレッドシートで使える式と、案件ごとの利益を見る表の作り方をまとめました。個人事業主や、小さなお店・工房の方に向けた内容です。
1. 2つの言葉の違い
どちらも「利益が何%か」を表します。違うのは、何で割るかです。
| 言葉 | 式 | 何で割るか |
|---|---|---|
| 利益率(粗利率) | 利益 ÷ 売値 | 売値 |
| 上乗せ率(マークアップ) | 利益 ÷ 原価 | 原価 |
利益は「売値 − 原価」です。同じ利益でも、売値で割るか、原価で割るかで、%が変わります。
2. 「25%のせたのに20%」になる例
原価が8,000円の商品があるとします。
- 原価に25%のせる:8,000円 × 1.25 = 10,000円
- 利益:10,000円 − 8,000円 = 2,000円
- 上乗せ率:2,000円 ÷ 8,000円 = 25%
- 利益率:2,000円 ÷ 10,000円 = 20%
「25%もうけるつもり」で値段を付けると、売上のうち手元に残るのは20%です。売上に対して25%残したいなら、もっと高くする必要があります。
3. 目標の利益率から売値を出す式
売上の何%を残したいか、先に決めます。それを「目標利益率」と呼びます。売値は次の式で出せます。
売値 = 原価 ÷(1 − 目標利益率)
さきほどの例で、利益率25%にしたいときは、
- 8,000円 ÷(1 − 0.25)= 8,000円 ÷ 0.75 = 10,666.66…円
- 円未満を切り上げて 10,667円
- 確認:利益は2,667円。2,667円 ÷ 10,667円 = 約25.0%
「原価 × 1.25」ではなく「原価 ÷ 0.75」です。ここがいちばん大事なところです。
4. 早見表
上乗せ率と利益率の関係を表にしました。小数第2位を四捨五入しています。
上乗せ率 → 利益率
| 原価にのせる率(上乗せ率) | 売上に残る率(利益率) |
|---|---|
| 10% | 9.1% |
| 20% | 16.7% |
| 25% | 20.0% |
| 30% | 23.1% |
| 50% | 33.3% |
| 100%(原価の2倍) | 50.0% |
利益率 → 必要な上乗せ率
| 残したい利益率 | 原価にのせる率 |
|---|---|
| 10% | 11.1% |
| 20% | 25.0% |
| 25% | 33.3% |
| 30% | 42.9% |
| 40% | 66.7% |
| 50% | 100.0% |
たとえば「利益率30%」にしたいなら、原価に約43%のせる必要があります。
表の数字は、次の式で出しています。
- 利益率 = 上乗せ率 ÷(1 + 上乗せ率)
- 上乗せ率 = 利益率 ÷(1 − 利益率)
5. Excel・スプレッドシートの式
ここからは、表計算ソフトで計算する方法です。 ExcelでもGoogleスプレッドシートでも、同じ式が使えます。日本語版のExcelでも、関数名は英語のまま(IFERROR、ROUNDUPなど)入力します。
次のようにセルを並べます。
| セル | 内容 | 入れるもの |
|---|---|---|
| A1 / B1 | 原価 | 8000 |
| A2 / B2 | 売値 | 10000 |
| A3 / B3 | 利益 | =B2-B1 |
| A4 / B4 | 利益率 | =IFERROR((B2-B1)/B2,"") |
| A5 / B5 | 上乗せ率 | =IFERROR((B2-B1)/B1,"") |
| A6 / B6 | 目標利益率 | 25% |
| A7 / B7 | 必要な売値 | =IFERROR(ROUNDUP(B1/(1-B6),0),"") |
A列に名前、B列に数字や式を入れます。 B4・B5・B6は、表示形式を「%(パーセント)」にしておくと見やすいです。
この例だと、B4は20%、B5は25%、B7は10,667になります。
IFERRORを付ける理由 売値や原価がまだ空のとき、0で割ることになり「#DIV/0!」というエラーが出ます。 IFERRORで包むと、エラーのときは空白を表示します。表がすっきりします。
ROUNDUPを付ける理由
割り算の答えは、10,666.66…円のように端数が出ます。
ROUNDUP(…,0) で円未満を切り上げると、目標の利益率を下回りません。四捨五入にしたいときは ROUND、切り捨てなら ROUNDDOWN を使います。
6. 案件ごとの利益の表
仕事を受けるたびに、1行ずつ記録する表です。見積もりの前に入れれば値付けの確認に、終わったあとに入れれば振り返りに使えます。
1行目に見出しを入れます。
| 列 | 見出し | 入れるもの(2行目の例) |
|---|---|---|
| A | 案件名 | 店舗チラシ |
| B | 売値 | 80000 |
| C | 材料費 | 0 |
| D | 外注費 | 45000 |
| E | 作業時間 | 6 |
| F | 時給 | 2500 |
| G | その他 | 3000 |
| H | 原価合計 | =C2+D2+E2*F2+G2 |
| I | 利益 | =B2-H2 |
| J | 利益率 | =IFERROR(I2/B2,"") |
| K | 上乗せ率 | =IFERROR(I2/H2,"") |
| L | 目標売値 | =IFERROR(ROUNDUP(H2/(1-$O$1),0),"") |
さらに、N1に「目標利益率」、O1に「30%」と入れます。
$O$1 のように $ を付けると、式を下の行にコピーしても、同じO1を見てくれます。
この例では、原価合計が63,000円、利益が17,000円、利益率は21.25%です。目標の30%に届かせるには、L列の目標売値 90,000円が目安になります。
作業時間 × 時給も原価に入れる 自分で手を動かした時間も、立派なコストです。材料費と外注費だけで計算すると、利益が多く見えてしまいます。時給は「自分の仕事なら1時間いくらほしいか」で決めておきましょう。
式を下の行にコピーする H2からL2を選んで、右下の小さな四角を下にドラッグします。 Excelなら、Windowsは Ctrl+D、Macは ⌘+D でも下にコピーできます(コピーしたい範囲を下まで選んでから押します)。
なお、売値がまだ空の行は、利益がマイナスに見えます。売値を入れてから確認してください。
7. 利益率が低い行に色を付ける
目標の利益率に届いていない行に、自動で色が付くようにします。使う式は、ExcelもGoogleスプレッドシートも同じです。
=AND($B2>0,$J2<$O$1)
「売値が入っていて、利益率がO1の目標より低い」という意味です。
$B2 と $J2 の列の前にだけ $ を付けるのがポイントです。行全体に色が付きます。
Excel(Windows)
- A2からL列の、データを入れる範囲を選ぶ(例:A2:L100)
- 「ホーム」タブ →「条件付き書式」→「新しいルール」
- 「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選ぶ
- 数式の欄に
=AND($B2>0,$J2<$O$1)を入れる - 「書式」→「塗りつぶし」で薄い赤などを選び、「OK」→「OK」
Excel(Mac)
- A2からL列の、データを入れる範囲を選ぶ
- 「ホーム」タブ →「条件付き書式」→「新しいルール」
- 「スタイル」で「クラシック」を選び、その下で「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選ぶ
- 数式の欄に
=AND($B2>0,$J2<$O$1)を入れる - 「書式」で「ユーザー設定の書式」を選び、塗りつぶしの色を決めて「OK」
Googleスプレッドシート
- A2からL列の、データを入れる範囲を選ぶ
- メニューの「表示形式」→「条件付き書式」
- 右に出る画面の「書式ルール」で「カスタム数式」を選ぶ
=AND($B2>0,$J2<$O$1)を入れる- 「書式設定のスタイル」で塗りつぶしの色を選び、「完了」
O1の目標を30%から25%に変えると、色の付く行も自動で変わります。
8. 消費税はどうする?
計算は税抜の金額でそろえるのがおすすめです。売値は税込、原価は税抜、のように混ざると、利益率がずれてしまいます。
消費税の扱いは、事業の状況によって変わります。具体的な判断は、税理士や税務署に確認してください。
まとめ
- 利益率は「利益 ÷ 売値」、上乗せ率は「利益 ÷ 原価」
- 原価に25%のせても、利益率は20%
- 目標の利益率から売値を出すなら「原価 ÷(1 − 目標利益率)」
- 表計算では IFERROR で0割りのエラーを防ぎ、ROUNDUP で円未満を切り上げる
- 案件ごとの表に、作業時間 × 時給も入れて、目標に届かない行に色を付ける
まずは、最近の仕事を3件だけ、案件ごとの表に入れてみてください。思っていた利益率と違うか、すぐにわかります。
1件だけさっと計算したいときは、日本語の無料ツール利益率・上乗せ率 計算ツール(売値の逆算つき)が使えます。売値と原価を入れると、利益率・上乗せ率と、目標の利益率に必要な売値(円未満切り上げ)がわかります。英語版のJob Profit Calculatorもあります。
※この記事はAIを活用して作成しています。式と早見表の数字は、Microsoft Excelで計算して確認しています。
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